5位 人のセックスを笑うな

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作品情報
日本公開/2008年1月
上演時間/137分
監督/井口奈己
出演者/永作博美｜松山ケンイチ｜蒼井優｜忍成修吾

あらすじ

美術学校に通う19歳の純朴な青年みるめ(松山ケンイチ)は、39歳の講師、ユリ(永作博美)にヌードモデルになって欲しいと頼まれる。
20歳も年上なのにも関わらず少女のように奔放なユリに、みるめは恋心を抱き、自然と2人は関係を持つようになる。
しかし、ある日みるめはユリはが結婚していることを知り……。
2人が不倫していると事実を知った学校の友人たちも、心がざわつき始める。

解説

高橋ナオコーラさんの大人気小説を実写化したこちらの作品。
「人のセックスを笑うな」という衝撃的なタイトルで原作も映画も大変話題になりました。
タイトルからどきつい内容を想像してしまいそうですが、実は正反対のテイストなんです。
映像の中では終始優しさと切なさが漂い、穏やかでゆっくりとした時間が流れていきます。
 
2人の恋は、20歳の歳の差、講師と生徒というだけでなく、実は不倫関係。
みるめはユリが既婚者と知らなかったのでショックを受けるのですが、ずるずると関係は続いていきます。
永遠のベビーフェイス永作博美さん演じるユリが本当にかわいらしく奔放で、まるで少女のよう。
20歳も年下の青年が恋に落ちるのも、無理はありませんね……。
主演の松山ケンイチさんが演じるみるめはとても純朴ですが、年上の女性に憧れる流れはとても自然です。
 
また、蒼井優さんや忍成修吾さんが演じる同級生たちとのやり取りや会話も、現実に「ありそう」なことばかり。
学生時代の自分と照らし合わせ、共感する方も多かったのではないでしょうか。
 
大きな事件や、感情の大爆発がないというのがこの映画の最大の魅力です。
まるで現実の風景を切り取ったかのような映像が淡々と流れる中で、19歳の若者たちの繊細な心の動きが、丁寧に描かれています。
 
いわゆる不倫のような禁断の恋を扱った映画は、けっこうどぎついことが多いのですが、この作品は一味違います！
許されない恋が、許されてしまいそうなある意味危険な空気感……。
無邪気なユリですが、実はなかなかタチの悪い魔性の女かもしれないですね(笑)。

4位 アイズ ワイド シャット

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作品情報
日本公開/1999年7月
上演時間/159分
監督/スタンリー・キューブリック
出演者/トム・クルーズ｜ニコール・キッドマン

あらすじ

医師のビル(トム・クルーズ)は妻のアリス(ニコール・キッドマン)と一人娘とニューヨークで誰もが羨むような華やかな生活を送っている。
しかし、夫婦で招かれたパーティーでも別の異性と時間を過ごすなど、2人は倦怠期を迎えていた。
刺激を求めるビルは、旧友の男性と再会したことをきっかっけに、外で危険な遊びに手を出し始める。
その一方で「妻が他の男と寝ている」という妄想に取り憑かれるようになり……。

解説

鬼才、スタンリー・キューブリックの遺作であり、トム・クルーズとニコール・キッドマンという大スター夫婦の共演という話題性の多いこちらの作品。
トムとニコールはその後離婚していますが、この映画が原因だとか、そうではないとか……さまざまな憶測を呼びました。
キューブリックらしいクラシカルでゴージャスな美術と音楽の中で、夫婦の倦怠期と、欲望の代償を描いた、なかなか心のえぐれられる作品です。
 
どこまでが妄想で、どこからが現実なのかの境目が曖昧なのは、ビルやアリスが精神的に追い詰められているからでしょう。
登場人物は誰も彼も全員怪しく、それぞれが何かを抱え込み、そして企んでいる……そんな恐怖感がじんわりと広がります。
ビルが何に巻きこまれているのか、それとも何も起きてさえいないのか、謎が謎を呼ぶ中で、ついに決定的な“ある場所”を訪れます。
そこでは裸に仮面をつけた男女が入り乱れ……。
 
キャバレー風のきらびやかさと、ゴシックなテイストが美しく融合し、より一層独特の雰囲気を出しています。
とある儀式のシーンは迫力と緊張感と美しさと恐怖で、本当に感情が忙しいです！
 
ちなみにビルもアリスも妄想が爆発していますが、基本的にはまじめでお互いを思い合う2人なのです。
だからこそ、危険な欲望を叶えたときに起こる代償があまりにも怖い。
物語内でも、ビル本人だけでなく、周りの人たちが命の危機にさらされていきます。
 
浮気願望を鎮められる作品かもしれませんね……。

3位 愛を読む人

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【作品情報】
日本公開/1997年4月
上演時間/124分
監督/スティーブン・ダルトニー
出演者/ケイト・ウィンスレット｜レイフ・ファインズ｜ダフィット・クロス

あらすじ

1958年のドイツ。
15歳の高校生マイケル(ダフィット・クロス)は、熱で道端に倒れたときに看病してもらったことをきっかけに、36歳で鉄道員のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と出逢う。
後日お礼を告げに行ったマイケルは、ハンナの大人の魅力に魅了され関係を持つ。
ハンナの家に通い詰めるマイケルは、ハンナに言われるがままに本の朗読をするようになるのだが、次第に2人の間には亀裂が入り始め……。
次に、2人が再会したときハンナは裁判所の被告人席にいた。
傍聴席にいた法科学生のマイケルはその姿に絶句し……。

解説

物語の前半と後半でガラッと印象が変わるこちらの作品。
ベストセラー小説「朗読者」を実写映画した作品です。
 
物語の前半は、それはそれはエロティック！
36歳の女性と15歳の青年が愛欲に溺れていくラブシーンの連続は、なかなかの見応えです。
ただ、大人であるハンナが少年のマイケルを翻弄するだけではありません。
次第にハンナもマイケルに本気で惹かれ始め、心を許していくのです。
それはつまり、怒りや嫉妬などの負の感情も相手にぶつけてしまうということ。
当然15歳の少年には受け止めきれず……。
でも、マイケルがハンナに「本を読み聞かせる」というところで2人は強く繋がっていました。
会うたびに、恋愛小説からコメディーまでたくさんの本を朗読します。
 
そして、物語は後半へ……。
ここからは、当時の凄惨な時代背景が浮き彫りになり、歴史ドラマ、法廷ドラマのように重厚になっていきます。
ナチス政権下のドイツで、ハンナはとある事件を起こしたと戦犯となって裁判にかけられていました。
たまたまその裁判を傍聴していたマイケルは、ハンナが誰かの罪を庇おうとしていることに気づくのです。
そのヒントは、2人が愛し合っていた時代にありました。
 
はい、泣けます(涙)。
みんなが自分の気持ちに素直になって、結ばれれば良いのにという思いで胸が張り裂けそうになりますが、それが許されない時代背景なんですよね……。
マイケルとハンナは、本当に長い間離れ離れになりますが、とあるきっかけで始まった手紙のやりとりから物語は大きく動き出します。
あの一夏の許されない恋が、2人のことをずっと支えていたのです。
 
悲しく、考えさせられることの多い物語ではありますが、愛の本質を描いた素晴らしい作品ですよ。

2位 シェイプ・オブ・ウォーター

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作品情報
日本公開/2018年3月
上演時間/123分
監督/ギレルモ・デル・トロ
出演者/サリー・ホーキンス｜マイケル・シャノン｜リチャード・ジェンキンス｜レイフ・ファインズ｜ダフィット・クロス

あらすじ

1962年冷戦下のアメリカ。
宇宙開発センターの清掃員として、イライザ(サリー・ホーキンス)は働いていた。
イライザは発話障害があり喋ることができず、恋人もおらず、満たされず孤独な日々を送っていた。
そんなある日、イライザの職場にアメリカ軍が戦闘機に乗せるパイロットにしようと「半魚人」のような謎の生物を連れてくる。
その生物は異質なものだったが、その美しさと神々しさにイライザは惹かれ、恋のような感情を抱き始める。
しかし、ソ連のスパイがその生物を殺そうとしていることに気づいたイライザは……。

解説

「今まで観てきたどの映画とも違うぞ……」というのが率直な感想です。
少々グロい？気持ち悪い？そんなシーンもたしかにあります。
ヌードや少々生々しい性描写にギョッとするかもしれません。
でも最初怯んでいたすべてが、一気に美しく見えるという不思議な作品です。
究極の純愛がここにあります。
 
種族を超えた愛を描いたこちらの作品ですが、正直、あの半魚人のような生き物の造形、これまで見たことがありません。
人間のような二足歩行で、身体中に鱗が生えていて、強烈なインパクト……びっくりします。
彼は喋ることもできず、最初のうちは感情があるのかもわかりません。
ただ、喋ることができないのはイライザも一緒。
2人は、2人にしか分かち合えないとんでもない愛の世界に没頭していきます。
 
そして、ギレルモ・デル・トロ監督の描く世界が、この世のものとは思えないほど美しいんです。
映像と美術の素晴らしさは圧巻です！
1962年のクラシカルな建物や洋服に、スチームパンクを思わせる研究所の設備、「半魚人」である彼の姿。
そして水を幻想的に使った映像美。
本作は最新のSFとクラシカルの融合であり、次世代のファンタジーロマンス。
大人のおとぎ話だと感じました。
 
「美女と野獣」や「人魚姫」も許されない愛の末、最終的に人間の姿を選ぶことになりますが、新世代のファンタジーは違います。
異種同士が、ありのままの姿で愛を貫く姿が描かれています。
ほんの数十秒のエピソードで、同性愛や黒人差別についての問題定義も描かれていることからも監督の思いを感じます。
 
ちなみに、物語はスリリングにも展開していきますので、最後まで見逃せません。
SFやアクション映画が好きな人にもおすすめしたい完成度です。
 
「シェイプ・オブ・ウォーター」が描く独特の“許されない恋”は世界にインパクトを与えました。
2017年のアカデミー賞で作品賞を含め最多4部門を受賞したというのも納得ですね！

1位 ロミオ＋ジュリエット

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日本公開/2009年6月
上演時間/120分
監督/バズ・ラーマン
出演者/｜レオナルド・ディカプリオ｜クレア・デーンズ

あらすじ

舞台を現代に変えた、シェイクスピアの古典名作「ロミオとジュリエット」。
ヴェローナビーチという街で、何代にも渡る抗争を続けている2つのマフィア一族がいた。
モンテギュー家のロミオ(レオナルド・ディカプリオ)とキャピレット家の一人娘のジュリエット(クレア・デーンズ)は、仮装パーティーで運命的な出会いをし、一瞬で恋に落ち結婚の誓いを立てる。
しかし、愛し合う２人を差し置いて一族同士の抗争は悪化。
ロミオもジュリエットも、それぞれ最悪なかたちで大切な人を亡くし、運命は翻弄されていく……。

解説

１位はこちら！
「ロミオ＋ジュリエット」です。
原作は言わずと知れたシェイクスピアの名作中の名作。
「ああ、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの？」でお馴染みの世界一有名なラブストーリーが、時を超えて映画化されました。
 
愛し合うロミオとジュリエットが“許されない”理由は一族同士の対立です。
現代に舞台が置き換えられているので、敵対するマフィア同士の抗争、武器は剣ではなくピストル。
ロミオはアロハシャツに身を包み、ジュリエットはデニムを履いているのが新鮮です。
 
ただこちら、設定に合わせてすべて現代に置き換えたかといえば、そうではありません。
なんと、主人公であるロミオとジュリエットの台詞はシェイクスピアの原作そのままが使われていて、文学的で詩のようなロマンチックな台詞の数々がとっても美しいのです。
 
何より……とにかく何はともあれ、これだけは言わせてください。
ロミオ演じる若かりし日のレオナルド・ディカプリオが、まーーーー美しい！！！
この世のものとは思えないほど、美しいレオ様……。
やばいです。
すごいです。
語彙力を失います(笑)。
こちらの作品の公開はかの有名な「タイタニック」と同年。
「ロミオ＋ジュリエット」の方が先に公開され、日本でも若い女の子たちを中心に、レオ様フィーバーが巻き起こりました。
 
美しいのはレオ様だけではありません。
水槽越しに、ロミオとジュリエットが初めて出会うシーン。
エレベーターの中でキスを繰り返すシーン。
ラストの教会のシーンなど、最初から最後まで目が幸せ(笑)。
 
綺麗すぎて、尊すぎて涙が出るレベルです！
 
ジュリエット役のクレア・デーンズは当時なんと16歳。
まだ顔立ちもあどけなさが残り、初恋に身を焦がすジュリエットにぴったり。
白い羽を付けた衣装は、本当にかわいらしく天使そのものです。
 
結末は言わずもがな……究極の悲恋です。
現代版でエンディングをハッピーエンドにしちゃおうなんて、甘いことは言ってくれません。
2人のすれ違いの末の死が必ず最後に訪れることを知りながら、この映画を観るのは本当に辛いですよね……。
 
大昔から憎しみ合う一族のせいで、若い2人は悲しい最後を遂げます。
争いには犠牲がつきもの。
いかにそれが愚かなことか、身を持って示してくれた2人の愛は、天国では永遠に続くのですよね……。
物語の最後「許すこと」の大切さが語られますが、誰の胸にも刻まれるメッセージになるのではないでしょうか。
 
 
許されない愛特集をランキング形式でお届けしましたが、時代が違えば、場所が違えば、祝福の上、結ばれていたかもしれない2人。
 
それでもお互いを想い、求め合うことをやめない恋人たちの力に、感動と勇気を貰えますよ！
 
とはいえ、不倫や浮気には代償があることもお忘れなく……。
 
 
text：南々井梢